ふと非革命アンプなるものを見つけたのがほんのちょっと前.古典的アンプ IC である,ナショセミ LM380N にぎりぎりまで NFB をかけて音質改善を図るというもの.すでに10年以上前のものなのだが,ごく最近までまったく知らなかった.とても面白そうで,試してみたいなあとは思いつつ,今更 380 でアンプを作るのもなあ,とか思っていた.
前記事で書いたように PC 用のスピーカを鳴らすのに使っていたアンプをリプレースしたので,それまで使っていた 380 のアンプが余った形になった.ということで,これをベースに改造することで非革命アンプにできないか,考え始めた.
作ったのも相当前 (20年は経ってそう) なので,380 使ったことしか覚えてなかったけど,基板を見ると共立のワンダーキットだった.同梱パーツが微妙に違うが,まあほぼ同じものがまだ普通に売っているので,いかにこの IC がよくできていて,人気があるのかがわかる.ただ,基板自体は完成品を買ったようで (部屋の大掃除中に外袋が出てきたというね),それにミキサ (といってもエミッタフォロワの出力を抵抗で束ねただけ) とかボリュームとかを追加して箱に組み込んで使っていた.2系統の入力をミックスしてそれぞれにボリュームがあって,とかそのときには考えて作ったんだけど,結局,1系統しか使ってなかった.
根強い人気のある定番 IC とはいえ,さすがに設計も何も古すぎるからか NS を引き継いだ TI はこいつの製造の終了を予定しているとも聞く.だからといってストックを買っておこうとまでは思わないが,ちょっと残念な気もしないではない.
この基板,回路自体はほぼ標準回路通り.そもそも外付け部品の少なさが売りの IC なので,非革命アンプといったところで部品がそれほど増えるわけでもないし,この基板上に再構成できそうな気がする.ということで IC 以外の部品を一通り外して接続し直したり部品を替えたりすることにしてみた.
とりあえず電源パスコン以外を全部外して,非革命アンプ推奨回路3にほぼ準拠する形の回路で改めて部品を付け直した.
この写真ではわかりにくいが,もともとの部品用の穴を利用してはいるものの,定数が違ったり,二つの部品の穴にまたがるように新たな部品を付けたりしている.出力のカプリングコンデンサは元が 470 μF / 16 V だったのを1000 μF / 25 V にしているので,不釣り合いな大きさに見える.リードも太くて元の穴にはギリギリ入らないのを,キリで少し広げて通している.出力と並列に入る CR は,2.7 Ωの手持ちなどないので,もとの 5.1 Ω に手持ちの 4.7 Ω を基板上でピギーバック的に追加して並列にしている.ここの C も元々のものを流用.
裏側にもパーツがある.
NFBを増やしたのに対応するためのコンデンサはピン間に直付け.そして,そもそもの NFB の CR は,表側には部品を付ける場所がなかったので空中配線も使って無理矢理.
これで電源に 12 V を入れてみたところ,普通に音が出て使えることを確認できた.
LM380N は電源を 22 V までかけられる.これで 8 Ω 負荷で 4.5 W 出力ということになっている.上の改造基板は電源パスコンを元のまま残したので,15 V が電源の上限になっている.なので,ここも入れ替えることにした.
入れ替えた結果がこれ.
無理矢理もいいところ.この基板,わざわざ各 IC の側にパスコンを独立に配置しているのだけど (おそらく 1ch 用のパターンを二つ並べて電源ラインをつないだ形の設計),その両方を替えようとすると,片ch 側はコネクタが使えなくなってしまう.ということで,そちらは裏側に取り付けている.こういうことをすると,基板を箱に組み込むときに苦労することになるのは目に見えているのだが,それはそれ.
これで余っている 19 V のアダプタと組み合わせてやると,4 W くらいは余裕で出力できるようになるはず.ただ,IC の放熱のことは考えてない.
ちなみに 19 V のアダプタというのは,昔,面白半分に買ってほとんど使わなかった Life Touch Note のアダプタ.3 A 以上の電流が取れるのでこのアンプには過剰なのだが,だからといって新規に電源を作ったり買ったりするのも馬鹿馬鹿しいので,これを使うことを想定.このアダプタ,前に出力をオシロで見たところ,スイッチングノイズとかほとんど見えなくてびっくりしたくらいで,意外に高級品なので残しておいた.Life Touch Note 本体は捨てたけど.
ということで,入力ボリュームを付けて箱に入れれば使えるアンプになりそう.それはまた後日かな.
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